(マンション管理内観外望) 2009.10.4掲/12.25改
マンション学的資料
団地型マンションについて分析した、ちょっと古い(2001年)が貴重な文献と思います。
今年4月に発表された国交省の「平成20年度マンション総合調査結果報告書」でも、団地型マンションに固有な問題は取上げられていません。せっかく大規模な調査をするのであれば、団地型マンションの実態についても調査して欲しいものです。
この論文では団地型マンションの形態を6タイプ(更に細分して10タイプ)に分類して論じています。その中に、3段階構成(棟-敷地ブロック-団地)の団地で、団地レベルでは共有物がないにも拘らず団地管理組合を組織している例もあります。
・これからのマンションと法 (丸山英気・折田泰宏編 日本評論社 2008.9.20)
広く、深く…しかしかなり高め(税込み8,925円)。
例えば、敷地利用権に関してだけでも
・敷地利用権の法的性格
・敷地利用権の処分
・敷地利用権と専有部分の登記法上の一体性
・分譲マンション敷地の土地収容
と4章にわたって述べられています。
・住宅管理組合の脆弱性 −団地再生を考える−
管理組合における農民のDNA
/ 日本文化としてのDNA / 高度化するマンション管理 / 崩壊する共同幻想
《…聞くところによると、マンションや団地といった分譲住宅が普及し始めた1960年代前半、法律家の間に入居者が共同管理するという考えはなかったらしい。住宅管理組合の根拠になっているのが「建物の区分所有等に関する法律」だが、この法律をつくるとき、当初は、先進地域である欧米のマンション(普通コンドミニアムという)にならって、住宅所有と住宅管理を分ける方針だった。ところが、次々と分譲マンションや分譲団地が建設されてしまい、法律が間に合わなくなって、苦肉の策として居住者が組合員となって管理組合を結成し、共同して住宅の管理にあたる現在の方式が追認されたというのだ。…》
著者山森氏の論文が上記「マンション50年を振り返る」にも掲載されています。
・米国カリフォルニア州のCID(共用施設付(共同)住宅(団地))管理における
HOA(管理組合)の役割とそれを支える法制度
JDreamUの抄録より:
現在のように「所有:管理」の関係が「公:公」あるいは「私:私」のように画一的方法でなく、「共」による新たな住環境管理方法がある。その可能性として、居住者による住環境の管理方法を検討した。都市計画・都市経営での中間組織の位置付けが明確であり、住み手が主体になり、自らの住環境を自らでマネジメントする組織として米国のHOA(住宅所有者により構成される管理組合)を取り上げ、HOAの役割とそれを支える法制度を明らかにした。HOAの機能及び成立のための法制度などを明らかにするために、HOAが必要とされるコモン(公でも私でもない空間)のある住宅(CID)が多い、カリフォルニア州を対象とした。文献にて同州のHOAの法制度を明らかにし、次に、同州のオレンジ郡アーバイン市およびその周辺をとりあげ、HOAの実態を明らかにした。調査は、2004年2月に現地で資料収集及び管理組合関係者、管理会社、設計者などに聞き取り調査を行った。
■マンション学会「マンション学」より ⇒
・海外のマンション事情 −制度と管理− ⇒
英国フラットの所有と管理 -制度と実態-、欧米とアジアのマンション法制、等
・マンション50年を振り返る ⇒
区分所有法の変遷と法構造変化、70年代近郊型分譲団地の危機、等