(マンション管理内観外望)                                                                                       2009.11.27

団地

 

団地と規約 68条 規約の設定の特例-

日本総合住生活兜メ著「マンション管理の常識(管理編)(日本総合住生活 2007 非売品)より:

 

団地の規約

団地に規約が制定されていない場合、区分所有法の規定の原則により、次のような団地の管理方法になります。

区分所有法第65条から、@団地内に数棟の建物があり、A一団地内の土地又は附属施設がこれらの建物の所有者に共有されていれば、当然に団地の管理組合が成立します。

つぎに、団地の管理組合が管理すべきものは、その共有に属する土地、附属施設であり、専有部分のある建物については、各棟の区分所有者が管理することになります。

 

しかし、この方法で団地を管理するとなると、専有部分のある建物や一部の建物の所有者が共有する土地等について、団地の管理組合では管理できず、団地全体の統一的管理は不可能となります。そこで、区分所有法第68条は、団地の規約について、特例を定めました。

 

1 一団地内の土地又は附属施設が当該団地内の一部の建物の(区分)所有者の共有(戸建て住宅の所有者のみの共有を除く)に属する場合における当該土地又は附属施設については、当該土地又は附属施設の全部について、各共有者の4分の3以上でその持分の4分の3以上を有する者の同意があれば、団地管理組合で管理するという規約を制定できます (区分所有法弟68条第1項第一号参照)

 

2 一団地内の専有部分のある建物については、総会を開催して区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による賛成決議があれば、団地管理組合で管理するという規約を制定できます (区分所有法第68条第1項第二号参照)

 

現在、ほとんどの団地では、この規定に基づき、団地管理組合が専有部分のある建物も一括して管理する形態となっています。参考とする規約例としても、マンション標準管理規約(団地型)や公団型団地管理組合規約標準例も団地管理組合の一括管理の方式をとっています。

 

ちなみに、この規約の特例を定めている区分所有法第68条は昭和58年の区分所有法改正時に規定されたものです。したがって、それ以前に団地の規約が制定されている場合は、専有部分のある建物の各々について、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による賛成決議はとっていません。これは、一団地内の建物の所有者は、団地を同じくすることによってすでに利害を共通にし、一種の共同体的な関係にあるのであるから、管理組合は一つに統一するのが相当と考えられたからです。

 

昭和58年の区分所有法改正時に、棟の決議を要することとした理由は、団地建物所有者のうち一部の者のみが権利を有する物について団地の規約をもって規制を加えるには、団地建物所有者全員の所有意思のほか、当該物につき権利を有する者の多数意思をも尊重することとするのが相当と考えられたからです。

 

昭和58年区分所有法改正以前には各棟で決議をとっていませんが、その団地の規約の有効性については、昭和58年区分所有法改正時の附則第9条により有効性が保たれています。

 

 

団地の規約の改正

区分所有法第68条を見た場合、団地の規約を定める場合には、棟の決議を要することは規定されていますが、それでは団地の規約を改正するに際しても、棟の決議を要するでしょうか。

これについては、最初に定めた規約の趣旨がどうであったかによります。

 

1 当該物の管理又は使用に関する事項は一般的に団地関係における団体的管理に服させるとの趣旨であれば、その変更については、改めて棟の決議をとる必要はない。

 

2 当該物の管理に関する事項のうち一定の事項のみを団地関係における団体的管理に服させる旨を定め、又は当該物の使用に関する特定事項のみを団地の規約で定めたのにすぎない場合、その定めるところを超えて団地関係における管理に服させることとし、又はその使用に関する事項の定めを変更するような場合には、改めて棟の決議の手続を要する。

 

と解されています (「建物区分所有法の改正」・濱崎恭生著・()法曹会刊より)

 

「公団型団地管理組合規約標準例」は、制定の趣旨が「当該物の管理又は使用に関する事項は一般的に団地関係における団体的管理に服させる」ということですから、団地規約改正の際、棟総会の決議は不要ということになります。

 

団地の規約の制定時の問題

1 団地管理組合での規約設定決議と棟管理組合での規約設定決議の順番はどちらが先でも構いません。団地管理組合・棟管理組合の双方の手続きが完了したときに、規約設定の効力が生じることになります。

 

2 棟管理組合での規約設定決議は、全部の棟について成立しなければなりません。一棟でもその決議が成立しない場合は、全部の棟について団地管理組合で棟の管理を行うことはできません。

 

3 棟管理組合で団地の規約に抵触する規約を制定するには、団地の規約の変更又は廃止の手続きを行わなければ、制定できません。

 

団地規約の廃止

団地規約を廃止する場合には、団地管理組合の総会決議(区分所有法第45条の「書面又は電磁的方法による決議」を含む)が必要であり、それ以外の方法では廃止できません。

 

団地規約例の種類

公団の団地で規約改正に際し、参考とされている規約例には、次の二種類があります。

1 公団型団地管理組合規約標準例

2 マンション標準管理規約(団地型)

 

公団団地については、当初の設立総会において、公団型団地管理組合規約標準例に基づいた規約を採用しています。

平成9年に「マンション標準管理規約」に「団地型」が新たに制定されたのに伴い、その後、管理組合で規約改正を検討する際、マンション標準管理規約(団地型)を参考に規約を改正する管理組合が多くなっています。

 

公団型団地管理組合規約標準例は、昭和58年の区分所有法の改正を受けて昭和593月に定められ、その後分譲された住宅については、この標準例に基づき、それぞれの団地の特性等を考慮して規約案が作成され、管理組合の創立総会で制定されてきました。なお、昭和58年以前に分譲された団地についでは、昭和37年に制定された区分所有法を元に公団が独自に作成した規約案に基づき制定しました。

その後、平成16年に改正されたマンション標準管理規約(団地型)を参考に当社独自で改正公団型団地管理組合規約標準例を公表しています。

 

一方、「マンション標準管理規約」は、平成16年に改正されるまでは「中高層共同住宅標準管理規約」という表題で、昭和57年に建設省から通達されました(昭和58年に一部改正)。そのときは「単棟型」のみで、平成9年に改正された際に、初めて「団地型」及び「複合用途型」が公表されたものです。

その後、平成14年の区分所有法改正等マンション管理に係る法制度の充実やマンションを取り巻く情勢の変化を受けて、平成161月末に改正された「マンション標準管理規約」が発表されました。

 

「公団型団地管理組合規約標準例」と「マンション標準管理規約(団地型)」は内容や表現に異なる部分があるものの、団地管理組合が棟の管理(区分所有法で、団地に適用されない部分は除く)を一括して行うという基本的管理形態においては、二つとも同様のものであるといえます。

 

規約と協定・細則

1 協定

公団型団地管理組合規約標準例では、「住宅等の模様替え及び修繕に関する協定」、「共同生活の秩序維持に関する協定」、「専用庭の使用等に関する協定」が一緒に規定されています。これらの協定は、その中で「この協定は、『建物の区分所有等に関する法律』(昭和37年法律第69)65条に定める『規約』とする。」と規定され、協定も規約の一つという位置付けにしています。この協定による規定方法は公団型団地管理組合規約標準例独自のものであり、マンション標準管理規約にはありません。

 

公団型団地管理組合規約標準例は条文数がマンション標準管理規約よりも少ないと解釈している人がいますが、それはこの協定の位置付けを見落としているものです。

 

2 細則

それでは、マンション標準管理規約はどのような方法をとっているかというと、細則を定めるのが一般的方法です。細則は区分所有法には何の規定もありませんが、規約で定めた事項の詳細で具体的な事項や手続きを定めたものがこれに該当します。

 

たとえ細則という名称で定められていても、管理に関する基本的事項が定められているのであれば、実質的に規約として取扱われることになります。

[通常の]細則の変更は規約の変更とは異なり、総会の過半数決議で可能です。